
2026年度活動方針
はじめに
医療の進歩に伴う治療形態の変化(小児がん治療における入院の短期化・断続化等)に加え、コロナ禍以降の教育環境の変化は、病弱教育の在り方に引き続き大きな影響を与えています。1人1台端末の普及やICT活用の進展は、学びの可能性を広げる一方で、対面による教育活動の意義や、「場」を共有することの意味を改めて問い直す契機ともなっています。また、精神疾患のある子どもたちの増加や、高校段階における学びの保障の脆弱さなど、看過できない課題も明らかになってきています。
こうした状況のなか、本研究会はこれまでの活動を通して、病気の子どもたちの学びを支えるうえで、「つながり」や「場」、そして人との関係性が果たす役割の大きさを再確認してきました。全国大会や「作品展と朗読・つなぐコンサート」などの取り組みを通して、対面による出会いや交流が、新たな実践や連携を生み出す力となることも共有されてきています。
一方で、病気療養中の子どもたち、とりわけ高校生に対する教育保障については、依然として十分とは言えない現状があります。ICTによる遠隔支援を有効に活用しつつも、それだけに依存することなく、子どものニーズに応じた多様な学びの場をどのように確保していくのかが、引き続き重要な課題です。
本研究会では、これまでの活動で培われてきた成果と理念をあらためて確認し、2026年度の活動方針を以下のように整理しました。活動の中心テーマに「真に切れ目のない学びの保障とその質の探求」を据え、その下に6つの柱を重点として、会員相互の学びと連携を大切にしながら活動を進めていきます。
① 様々な場で「つながりの質・学びの質」を探求しつつ新たな教育活動を構築していきます。
・教育活動の中での子ども同士、子どもと教員のつながり
・「対面の良さ」を踏まえた上でのツールとしてのICTの活用と工夫
② 病気の子どもに関わる人たちの学び・交流の場を作り出していきます。
③ 当事者の声に学びながら支援のあり方について探求します。
④ 高校生の教育保障についてさらに研究を深め、実現に向けて活動を推進していきます。
⑤ 本研究会で得られた知見を様々な場に提言し発信していきます。
⑥ 山梨大会で得られた成果や新たに生まれたつながりを大切にし、各地の実践や交流の充実につなげていきます。
1.研究交流活動
1. 研究交流活動
(1)学習会
会員の皆様の要望を聞きながら、子ども理解や真に切れ目のない教育実践と多職種連携などをテーマに、事務局主催の学習会を企画します。また地域での学習会の企画を援助します。
(2)学習交流会
開催日時:2026年5月30日(土) 14:50~16:20 総会後に引き続き実施します。
テーマ 「病気のある子どもと家族の心理と支援の在り方」
話題提供者 羽田京子氏(全国病弱虚弱教育学校PTA連合会 元会長/病弱の子どもたちと保護者の会「灯台」代表)
(3)通信の発行
年4回の発行を計画的に行います。会員のニーズを汲み取るため、会員の積極的な情報提供を呼びかけ、会員相互の情報交換の場となるよう工夫します。
(4)研究交流誌
Vol.31(41号)を発行に向けて現在編集作業中です。内容は以下の通りです(予定)。
【抄録】第17回全国病弱教育研究会全国大会(山梨大会)報告
(5)理解啓発活動
①「病弱教育の主人公たち作品展」及び「朗読・つなぐコンサート」の主催・協力
2020年度より毎年開催してきた「病弱教育の主人公たち作品展」は、山梨大会を契機に、東京以外の子どもたちの作品も加えた取り組みとして広がりを見せています。また、一昨年度より始まった「朗読・つなぐコンサート」とともに、大学や地域などさまざまな場での開催が定着しつつあります。今後も、作品や表現を通して、病気療養中の子どもたちの学びの意義や病弱教育の役割について理解を深め、人と人とのつながりを大切にする活動として継続していきます。
現在、山梨県田原交流センター(4月)、都立大学(10月)、都留文科大学(7月/10月)での開催が内定しています。
(6)その他
病気の子どもの教育に関する実際の悩み、相談に応じた支援活動に努め、研究・交流で培ったものを社会に還元していく等、本会の目的に即した活動をおこないます。
2.組織・運営
(1)入会呼びかけ
学習会、全国大会、ホームページ、Facebook 等で積極的に入会を呼びかけます。
(2)運営
(2-1)事務局・世話人合同会議
①これまで年4回程度開催してきた事務局会議について、2026年度以降は「事務局・世話人合同会議(以下、「合同会議」)として開催します。
本合同会議は、原則としてオンラインで開催し、必要に応じて対面での開催も検討します。
合同会議の主な目的は以下の2点とし、これにより、事務局と世話人が役割を分担しつつ協働し、組織全体として、より円滑で全国的な活動展開を図っていきます。
・世話人からの意見や各地域の状況、実践に関する情報を共有し合う機会を増やすこと。
・年度ごとの活動計画や企画・運営に、世話人の知見や意見をより積極的に反映させること。
②今後の運営にあたっては、事務局および世話人の役割を以下のように整理します。
・事務局は、本研究会運営の中核として、活動方針の整理、事務処理、企画立案および全体調整を担います。
・世話人は、各地域の実情や現場の声を集約し、全国的な運営に反映させる役割を担います。世話人は運営の「共同意思決定者」として位置づけ、日常的な事務や実務の担い手とはしません。
・合同会議は、事務局の全国的な視点と、世話人の地域に根ざした視点とをつなぐ協議・共有の場として位置づけます。
(これに伴い、規約の関係する部分も変更します。)
(2-2) 広報活動
・ホームページの活用 通信の巻頭言を掲載するなど魅力あるホームページを目指します。
・会の紹介パンフレット(ホームページからダウンロード可)を様々な機会に活用していきます。
・書籍「病気の子どもの教育入門」「病弱教育の主人公たち作品集」や交流誌、通信等の宣伝も様々な機会に行っていきます。
・会員の方々もそれぞれの方法で広報への積極的なご協力をお願いします。
(3)その他
・他団体との協力等、引き続き、関係する学会、研究会、研修会等の情報を通信等で会員に紹介します。また、関係諸団体との連携も強め、名義後援を相互に行うなど、連携・協働をすすめます。
・病気の子どもの教育に関する相談
担当が相談内容を聞き取り、必要に応じて情報提供や支援団体などへのつなぎ役を行います。